排気ガスの「黒さ」を活用した、Tiger beerが行った環境問題対策
シンガポールの代表的なビールと言えば"Tiger beer"
国名の語源がサンスクリット語の「シンハ:獅子」が由来となっているから、
tigerという名前だったと記憶しています。
今回、シンガポールを代表するビールブランドが、
アジア諸国の深刻な問題に対して、取り組みます。
【INFORMATION】
クライアント:Tiger Beer
商材 :ビール
実施時期 :2016/08
実施国 :アジア諸国
【BACK GROUND】
アジア諸国では、製品製造にあたって排出される排気ガスや、
移動に際する車やバイクのガスによって、環境汚染が問題となっている。
【MISSION】
排気ガスによる環境汚染を改善すること。
【EXECUTION】
環境汚染が深刻なアジア諸国。
アジアを中心に商品展開しているTiger beerは、
この問題を深刻に捉えていた。
そこで打ち出した施策が・・・
仕組みはこう。
新たに開発したAIR-INK装置を排気管に取り付け、
その中に排気成分が溜め、黒のインクに変えてしまう。
この技術は車だけでなく、
船
焼却炉
クレーンにも代用可能。
さらに。
本施策ではこのインクを・・・
アーティストに提供した。
Tiger Beerの意図としては、
「ストリートはTiger Beerを飲むのにぴったりなだけでなく、
クリエイティブなアイデアや情熱が生まれる場所である。」
というものである。
いろいろなタイプのアーティストに使ってもらうため、
インク、ペン、スプレーなど、AIR-INKを用いたグッズも数種類作成した。
最後にはこんなメッセージが記されている。
「アート、表現、そして科学の力を融合すれば、新たな魔法が生まれる。」
【RESULT】
数値データなし。
【OPINION】
good point
社会的課題を改善に向かわせるだけでなく、
さらにアーティストを起用することにより、
取り組みを視覚化させる「広がり」が素敵。
科学の力を最大限に活用した、素晴らしい取り組みだと思います。
bad point
Tiger beerが行う理由付けが弱い気がしました。
少し調べてみたところ、以下の要因が考えられます。
1. 排気ガス問題は世界の中でも、特にアジアが深刻であり、
Tiger beerもまたアジアを中心に展開しているため。
2.本文中にもあったように、Tiger beerはクリエイティビティに携わりたい、
という思いが強いようです。
本施策以外にも"TIGER TRADING CO."という、アジア人のクリエイティビティを
アピールするために、NYに特設店を開く施策を行っています。
3.Brewtroleumへの対抗
本施策を受けて、一つ疑問を抱きました。
ソーシャルグッドが昨今の広告業界のホットワードですが、
取り組みに対して、自社の商材や性格が必ずしもリンクしている必要性は
果たしてあるのでしょうか?
社会がよりよいものになるのであれば、どこがやってもいいはずです。
理由付けをしようとするのは、今の広告人の悪いクセなのかもしれません。