【ヤングカンヌ】2015 PR部門 ゴールド(スウェーデン)

本日は「ヤングカンヌ2015 PR部門」のゴールド(スウェーデン)です!

※諸事情でシルバーを飛ばしてゴールドからにします

 

 

【EXECUTION】

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チャレンジ:

人々の行動を変化させようとするとき、レトリック的アプローチが求められる。

 

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ターゲット:

ハイレベルな教育を受け、環境問題に少なからず関心がある人々。

そして彼らの行動を促すインサイトとして着目した点が、

「子供にとっての幸福」

 

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戦略:

一人一人の「肉の摂取」が環境問題に繋がることを伝え、

それらを控えることにより、次の世代の改善の手助けになることを伝える。

 

その伝え方が・・・

 

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     "VEGETABLE ZOO"

               「野菜動物園」

 

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概説:

ここの動物たちは、野菜で形どられて出来ている。

そしてその野菜の量は、例えば牛の場合だと、

「一匹の牛を育てるために必要な酸素量で作ることができる、野菜の量」

という様になっている。

その野菜の量は莫大で、実際の牛の大きさの10倍にも及ぶ計算になる。

 

また、園内にて新鮮な野菜をフードトラックで販売する。

そこで渡されるナプキンに野菜動物園の成り立ちを記載し、

目に見える形で来客者に啓発する機会を作り出す。

 

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加えて、認知拡大として以下のPR手法が考えられる。

・開園時に、メディアやインフルエンサーを招待する

・野菜動物と、本物の動物の対比画像をSNSに投稿する

・来客者に野菜動物と写真を撮る機会を与え、SNSで拡散してもらう

・クライアントの社報を用いて、賛同者が取り組みを共有する機会を与える

 

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リアルな拡がりとしては、以下の事柄が考えられる。

・予算次第ではキャラバンを行える

・野菜動物園の建設過程の様子が、立派なケースビデオとなりうる

・ターゲットが政治家や教育者まで波及されることが見込める

 

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効果の裏付け:

・野菜動物が、視覚的に「肉の摂取」の影響を伝える役割を果たす

・子供と共に来園してもらうことにより、

 「自分の子供の将来のために、食肉を抑えよう」

 という感情を引き出す。

 

 

【OPINION】
good point

食肉の悪影響を視覚化するために、「酸素の量」に着目した点がおもしろい!

そしてそれを野菜に置き換え、動物に形どることにより、

画力の強化に繋がっていると思います。

 

bad point

スライドの見せ方として、野菜動物の描写をもっと丁寧にした方が、

施策をイメージしやすかったと思います。

 

また「子供の将来のためなら我慢できる」というインサイトがおもしろいのに、

それがサブ的要素となっているため、企画のエッジが削がれていると思いました。

正直このインサイトがなくとも施策は成り立つので、

思い切って切り捨てることも一つの手だったのでは?

 

【ヤングカンヌ】2015 PR部門 ブロンズ(中国)

本日は「ヤングカンヌ2015 PR部門」のブロンズです!

 

 

【EXECUTION】

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      タイトル「豚を処刑する」

 

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インサイト

肉を食べるのは自由だ、と誰もが思うでしょう。

たとえ肉を作る工程が環境に害を与えていても、それは生産側の責任であって、

自分に責任はない、と思っても無理ありません。

 

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目的:

モラルを押し付けることなく、肉の生産の悪い面を訴求する。

そのために「肉の摂取を減らすかどうかの判断」を本人たちに託す。

 

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手法:

非難の対象を、あえて人間から外す。

そしてその対象を、食用肉の代表格である「豚」に移す。

 

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フェーズ1:

YouTubeで公開裁判

食用肉の生産に際する諸問題の責任を、全て豚に押し付ける。

そして1ヶ月以内に、豚を処刑し始めることを宣言する。

 

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しかし直後、意見をころっと変える。

「豚は無実。悪者は我々人間だ。」

 

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フェーズ2:

共同声明キャンペーン

公開裁判を見て、「悪いのは人間の方だ」と感じた人の思いを、

具現化する仕組みを作り出す。

(通常より少ない量の豚肉パックについた?)QRコードを読みとり、

自分の名前を記録することにより、連帯キャンペーンの参加表明をする。

 

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この取り組みがSNSで拡散されると、多くの賛同者を見込むことができる。

参加者が増えれば増えるほど、肉の摂取を控える人が世界中で拡がることになる。

 


【OPINION】
good point
一度、豚に全ての責任を押し付ける点がおもしろい!

またそこから真逆のメッセージを突きつける流れが気持ちいい。

bad point
人が肉の摂取を控えるきっかけが、
「ネットでの豚の公開裁判のみ」というのは無理があるのでは?

 

フェーズ2も賛同者が増えていく構造を想定しているが、

フェーズ1の「信憑性にかける豚の裁判」で、

果たしてどれだけの人が心を突き動かされるだろうか?

 

「自分だったら本当にやるのか」という視点が弱いと感じました。

 

【ヤングカンヌ】2015 PR部門 日本

それでは「ヤングカンヌ2015 PR部門」の日本作品から取り上げます!

 


【EXECUTION】

「肉ではなく野菜を食べよう」というメッセージを伝えるために、

その役を人間以外に託した。

それが・・

 

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豚。

 

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  「ごめんけど豚さん、これがあなたの未来だよ」

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飼料でできたレシピを豚に食べさせ、その豚は将来レシピ通りの材料となる。

 

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そして、行く行くは「肉を使わないレシピ」へと変える。f:id:m-araki-88-d:20160714190450p:plain

最終的には「肉を使わないレシピ」のみでレシピブックを作り、

人々の食生活と共に、動物たちの未来も変えていく。

 
【OPINION】
good point
肥料でレシピを作る、というアイデアがおもしろい。

bad point
少し筋が通っていないと思います。

豚が自分の将来の姿のレシピを食べる意味。(豚自身は何も理解できない)
肉を使わないレシピに変えた後に何をするのか。

そしてそれがどう人々の認識を変えるのか。

 

ここら一帯の話がすべて抜けており、

結果的に何がしたいのかが理解できませんでした。

 

 

ヤングカンヌのルールとして二日間しか時間がないので、

限られた時間の中でビッグアイデアにきちんと筋を通すことも、

勝敗を分ける一因になると感じました。

 

次回はブロンズを取り上げます!

【ヤングカンヌ】2015 PR部門 オリエン

本日から新たな試み、「ヤングカンヌを和訳して、分析しよう」を始めます!

 

まずは本記事にてオリエンをまとめたのち、

日本、ブロンズ、シルバー、ゴールドと分析していきます。

 

それでは「ヤングカンヌ2015 PR部門」のオリエンからです。

 

 

【INFORMATION】
クライアント:GREENPEACE
商材    :NPO法人


【BACK GROUND】

http://mbpod.cheerup.jp/wp-content/uploads/2014/08/metabolic_syndrome.jpg
世界中の人々が、野菜よりもお肉をよく食べる。

 

http://zatugakuou.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_d5f/zatugakuou/l201106150600.jpg

しかしその原料となる牛、鶏、豚を確保するために、

環境に悪影響を与えてしまっている。

 

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具体的には、有害な農薬や、家畜を確保するための森林伐採など・・・

 


【MISSION】

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     "Eat more vegetables"

                                  「もっと野菜を食べよう」

 

水死した人の行方は?船乗りにライフジャケット着用を促した驚きのアイデア

事故死した人の遺体の行方を想像したことがあるでしょうか?

その中でも水死に注目し、再発防止を促した事例をご紹介します。

 

 

【INFORMATION】
クライアント:Trygfonden
商材    :NPO法人
実施時期  :2016/07
実施国   :デンマーク


【BACK GROUND】
デンマークは船乗りや漁が盛んである。

しかしライフジャケットを着用しないことによる死亡事故が多発していた。
 

【MISSION】
海に出る人に、ライフジャケットを着てもらうこと。


【EXECUTION】

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水難事故にあった人は、海底でその命を終えることになる。

しかしライフジャケットを着用すれば、生存率は格段に上がる。

それを強く伝えるメッセージとして考えられたのが・・・

 

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                   "FISH FOOD"

                                 魚のエサ

 

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海底で亡くなった人は、おそらく海中の生物に食べられてしまう。

つまりそれらの生物は「海底で亡くなった人からできている」。

この事実を視覚化したものが、今回作られたFISH FOODである。

 

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当然すべての海中生物が水死した人間を食べているわけではないので、

その真偽性は明らかではない。

ただ次のメッセージを送る分には十分な効果がある。

 

DON'T END UP AS FISH FOOD
             魚のエサなんかで終わるな


【RESULT】
数値データなし

 


【OPINION】
good point
「水死した人が魚に食べられてしまう」という残酷な事実に向き合い、

それらを視覚化することによりライフジャケット着用を促す、

という常軌を逸した構造が素晴らしい。

bad point
商品の中に、本当に人間の成分が含まれているかは分からない。

これは確かにbad pointと言えるが、今回の取り組みの場合、

その真偽性は必ずしも求められない。

あくまで「メッセージの伝え方」が重要なのである。

欠点に納得性を持たせる点が、おもしろい取り組みと言える。

 

 

ゲーム大好きな若者が家事をするように?? SAMSUNGが手掛けた一風変わったコインランドリー

本日ご紹介する事例は正直、良い事例とは言えません。

たまには良く分からない事例を、きちんと検証することも大事かと思いまして。

 

取り上げるのは、デジタルデバイスによってあらゆる課題を解決しよう、

という活動が盛んなSAMSUNGによる事例です。

 

 

【INFORMATION】
クライアント:SAMSUNG
商材    :電子機器
実施時期  :2016/06-
実施国   :スウェーデン


【BACK GROUND】
今の10代は時間さえあればスマホ、パソコン、ゲーム・・・

家事を手伝う文化がすっかり廃れてしまった。



【MISSION】

10代の若者に家事を手伝わせること。



【EXECUTION】

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デジタルデバイスにべったりな若者に、どうすれば家事を手伝ってもらえるか?

SAMSUNGが考えたのが・・・

 

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                             LANdry

    (コインランドリーと、コンピュータネットワークを指すLANの造語)

 

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コインランドリーの中にパソコンを設置し、

洗濯機が回っている間だけ、オンラインゲームが遊べるという仕組み。

 

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長蛇の行列ができ、多くの若者が家事を手伝うきっかけを作り出した。


【RESULT】
数値データなし
 

【OPINION】
bad point
・家でもプレイできるパソコンゲームを、

 わざわざランドリーでするベネフィットが分からない。

・洗濯物だけが家事ではない。家事をするようになった、は言い過ぎ。

・ランドリーの一般利用者が阻まれる構造となってしまっている。

 ゲームができる施設(日本にはあまりない)に洗濯機を置いて、

 プレイ料金無料の方がしっくりくる。

・穴だらけの取り組みなのに、いい話風な動画がイラっとする。

 


お酒を飲みすぎると応援できない!? サッカー観戦のモラルを呼びかけるための特製ブブゼラ

サッカー観戦とお酒はワンセット!

クラブチームや大会のスポンサーに目を向けてみても、

CarlsbergやHeinekenなどビールブランドが見受けられる。

 

ただビールメーカー側にもジレンマがあって・・・

 

 

INFORMATION

クライアント:Carlsberg

商材    :ビール

実施時期  :2016/07-

実施国   :フランス

 

BACK GROUND

EURO2016のオフィシャルビールスポンサーであるCarlsbergは、

過度の飲酒をしながらのサッカー観戦に、危機感を抱いていた。

しかし自社商材を批判的に扱うこともできない・・

Carlsbergはそんなジレンマに陥っていた。

 

 

MISSION

適度なお酒の量でのサッカー観戦を、チャーミングに勧告すること。

 

 

EXECUTION

お酒は楽しいサッカー観戦の、絶好のお供!

ただあまりに盛り上がり過ぎて、周りに迷惑をかけてしまうことも。

 

EURO2016のオフィシャルビールスポンサーであるCarlsbergは、

この事実に危機感を抱いていた。

しかし、頭ごなしに注意するのはブランドの文脈に合わない。

Carlsbergは、楽しく伝えることを求められていた!

そこで考えられたのが・・・

 

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     "The Breathalyzela"

      「Breathalyzer:飲酒検知器」+「vuvuzela:ブブゼラ

 

ブブゼラと言えば、南アフリカで開催されたワールドカップで注目を浴びた。

サッカー観戦における応援グッズとして、広く認知されている。

 

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ただ今回のブブゼラ、ちょっと変わっている。

アルコール探知機が搭載されていて、一定以上のアルコールが検知されると、

音がならない仕組みになっている

 

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今飲んだお酒の量でブブゼラが鳴るのか鳴らないのか。

友人同士でゲーム感覚で確認することができる。

 

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サッカーを観る時は適度なお酒の量で、楽しみましょう!

 

 

RESULT

数値データなし 

 

 

OPINION

good point

過度な飲酒の注意喚起というwhat to sayに対して、

ブブゼラというhow to sayを持ってきた点がおもしろい!

ターゲットが喜んで手にして、試してくれるでしょう。

 

bad point

体験型キャンペーンの中でも、画面の向こうには波及しないものとなっている。

 動画を見た人はおもしろいなぁ止まりで、実際の行動には影響しなさそう。